デジタルコンテンツEXPO2010いってきた

最終日の展示を見にいってきた。
目的は先週のCEATECの時には見られなかった東芝裸眼立体視リベンジ
あとは触れる3Dラブプラスとかボカロ展示とか。

とりあえず、見た中で面白かった奴を回った順番につらつらと紹介。

Tag Candy(慶応大・環境情報)

食材の触感を伝える拡張現実デバイス
最初にチュッパチャップスを渡されて、電動歯ブラシの大物みたいなデバイスに棒部分を差し込むことで振動を与えて食感をシミュレートしようというもの。
やってることはキャンディをいろんな強度でブルブルさせようってだけの話なので、りんごのシャリシャリ感とかの歯を伴う食感の再現は微妙、ただし炭酸のシュワシュワ感は意外と再現できてた気がする。
あとは食い物じゃないものの食感を再現したらどうなるかということで、花火、飛行機、釣鐘のどれかひとつを選んでというのがあった。釣鐘を選んだら口の中をゴーーーーーンとやられたような衝撃がやって来た。しばらく口の中が痺れる程の。終わりかけで油断してたらもう一発やってきたので思わず笑ってしまった。

Y2 AUTUMN 2010

ヤマハVOCALOIDの複合ブース。
結構大きくスペースを取って展示と実演、とりわけ音楽教育方面の実践を力入れてやっていた印象。さすがヤマハ音楽学校は強いらしい。

とりあえず、iPhoneiPadVOCALOIDを触ってみた。I/Fは直感的にこうすればいいんだろ、って感じで動かしたらちゃんと思い通りの操作ができるようになってたので、かなり気は使っている印象。
タッチの感度は微妙なところもあるけれど、大雑把にボイスデータの作成してプレビュー再生してを繰り返す上でほとんどストレス無く作業することができた。
とは言え、タッチ操作の限界というか微妙な数値の調整をするのは難しく、弄って遊ぶには良いけれどもきちんとした「作品」を作るのに向いているかと言うとそれは違う気がした。

で、実際のところは弄って遊ぶのに夢中になりすぎてて、ヤマハの人にロクに話を聞けなかったのであまり書けることが無い…。あと後述の布型スピーカーの話でヤマハの人とは盛り上がってしまったのでこっちの話を聞くのを忘れてしまってた…。作業データの出力とかデータ共有とか、色々聞いてみたいこともあったので勿体無かったなあと思った。

ブースの後ろにあまりにもさり気なく置かれ過ぎてて誰にも注目されていなかったが、布型スピーカーも展示されていた。あまりに主張がないため、スピーカーの音もこの布型からではなく、その裏にある別のスピーカーから出てるんではないかと思ったほど。

で、ヤマハの人がうろうろしていたので捕まえて話を聞いたらこの人がまたノリノリでいろいろなことを教えてくれた。どれも興味深い話だったので、箇条書きにしてまとめてみた。

  • 布を触ってもピリピリとした振動が感じられないので聞いてみたら、この会場はCEATECの会場は比べ物にならないくらい騒音が少ないため、CEATECの時よりも小さい音で出しているのだと言っていた。そうは思えないぐらい音が鮮明だったが。ためしに、音を開放してもらったらかなりの音圧があった。
  • 指向性がかなり強いらしく、正面に居ればかなり遠くまで音が聞こえるとのこと。そのぶん音が拡散しないため、正面以外では音が聞こえづらいらしい。CEATECでは斜め上方向を向くように展示していたので失敗だったかもとのこと。
  • 音信号以外にもiPhoneで待ち受け画像を取得できるような信号も出していたらしいのだが、全く告知していないため誰も気づいていないと嘆いていた。
    意外とこの部門、ヤマハの中でも持て余し気味なんじゃないかと思った。
  • 製品化については結構クリアしないといけない点が多いらしい。設備用に使うならば難燃性の問題とか。布の中のフィルムがスピーカーとなっているのだが、これが場所によって燃えたり、燃え残ったりで面倒があったりとか(実際に燃やして試しているらしい)。フィルムを含むため、布を巻きとって保管や運搬も出来るのだが、皺や歪みが残りやすく見栄えが悪くなりやすいとか。その代わり、フィルムをはずせば布を洗濯したりはできるんだとか。
  • キャラクターの版権とかはかなり気にしているらしい。ガチャッポイドに関しては、ガチャピンさんが権利問題やら倫理面やらにおいて、キャラクター絵を二次利用させると問題が生じてしまうので、それを解決させるためのある意味で苦肉の策としてあの擬人化キャラクターが生まれたのだとか。ただし、絵を描く人たちは意外と空気を読んでくれる人が多くて助かっているとも言っていた。
  • 既にこのスピーカーはいくらで売りますかとか、音楽同人系のイベントで自前で描いたキャラクターに差し替える形で利用させて欲しいなどの問い合わせが来ているのだとか。

RePro3D(東京大院・情報理工学/慶応大院・メディアデザイン)

いわゆる、触れるラブプラス
順番待ちで並んでいる人たちが一番落ち着きの無いのがこの展示だったww。
仕組みとしては立体ディスプレイと触覚インタフェースの合わせ技。立体ディスプレイから投影された裸眼で認識できる立体映像を、指先に細いバンドを巻いたようなデバイスで触るとバンドがキュッと締まることで手で触れたような感覚を擬似的に作り出すというもの。
像が出力されるあたりにニンテンドーDSが置かれていて、その位置からラブプラスSDキャラクターを出現させることで、あたかもDSからキャラが飛び出してきたかのように見えるというなかなか心ニクイ演出がされていた。
キャラの3次元座標に指が接近すると接触と検知して触覚が発生し、かつキャラが弾かれてヨタヨタと移動したりするのでバーチャルに接触している感は結構ある。ひとしきりキャラに触れたところでキャラはDSへと帰っていくと言う最後まで徹底した演出。
このあたりの説明をしてくれていたオペレーターのお姉さんがすっごいノリノリだった。こちら側が若干引くぐらい。

指先だけではなく、グローブ型で手のひらに触感を与えるデバイスもあるらしいので、邪な方面への転用を考えるところだろうが、基本的にバンドを締める形でしか触感を与える方法がなさそうなんで、その手の利用形態まで降りてくるにはまだ時間がかかりそう。

Pen de Draw(東京大院・情報理工学/慶応大院・メディアデザイン)

空中でペンを動かすことで立体のブロックを作成し、かつ作成した立体にペンで触れることで触感もフィードバックするシステム。
ボタンを押しながら空間内でペンを動かすとその軌跡が表示され、ボタンを離すとブロックや球体が空間上に形成される。視差映像が画面には表示され3D眼鏡を着用することで立体的に見える。作成したブロックをペンで突っつくと立体がフワフワと移動し、その時の触覚を振動に変換して指先に伝えてフィードバックされるというもの。
3Dグラス、ペン型デバイス、6つの位置情報センサーといったデバイスてんこもりの完全環境依存型システム。

単純な図形しか作れないのだが、手当たり次第に立体を作ってからツンツンとやってると結構楽しくなってくる。つくって、あそぶという知育玩具みたいなコンセプトだけならこれだけで十分完成してる感じ。

グラスレス3D(東芝

画面は流石に撮影してる暇が無かったのでパネルだけ。てか、3Dを2Dで撮影してもしゃあないし。それなりに人が並んではいたけど、CEATECと比べて規模が段違いなので割とすんなり見ることができた。
20型と12型、ノートPC、そして参考展示で50型オーバーのものが展示されていた。どれも視聴のベストスポットは3〜5点ほど(真正面と左右両脇に1〜2点)で、そこを外すと二重にブレた映像が見える。しかし焦点の合う位置で見るとかなり綺麗に立体視して見える。その鮮明さは民生品として考えればかなり驚くレベルで、グラスありの3Dとほとんど遜色は無いレベル。ただやっぱり目は疲れると思う。慣れなのかねー。
20型という現代では小さいサイズのテレビを家族が微妙な位置関係を保ちつつ釘付けになると言う、これまたかなり独特な視聴スタイルが生まれそう。
コンテンツについて東芝の人に聞いてみたら、ちょっと言葉を詰まらせていた。まあそうだろうなあ。

ノートPCはウィンドウの指定領域のみを3D表示にするという方式にしていた。ドラッグにも対応しているようで、サンプルではメディアプレーヤーをドラッグして動かしても映像の3D表示は保たれていた。プレーヤーのウィンドウが文字通りポップアップして浮いているように見えたのがちょっと面白かった。

MetaCookie+(東京大)

体験は出来なかったけど面白そうだったんで。拡張現実マーカーを利用して嗅覚をフィードバックするシステム。マーカーに本物のクッキーを利用してるあたりが面白かった。
マーカーをカメラが捉えると合成された匂いが発生して嗅覚を刺激する。クッキーを近づけると匂いも強くなる。クッキーのかじり方、マーカーの形状の変化次第でチョコやイチゴ等と匂いが変化するようになることを狙ってるとか。

またクッキーが配布されていて、クッキーに描かれたARマーカー模様をiPhoneで撮影するとラブプラスの3Dキャラが出現するとかいうさりげないタイアップもされていた。

最後に、全体的に感じたこと

  • どのブースも、オペレーター等を担当してくれてる人のノリが良く親切だった。実演後に写真を撮らせてほしいと言ったら、デバイスを持って「この角度でいいっスか?デバイスも映るようにした方がいいっスか?」みたいにノリノリで応じてくれた。企業ブースであっても撮影禁止のものでなければ是非撮ってくれ、と前面に押し出してきてた。良いイベントだ。
  • 至る所でラブプラスのキャラが展示内容に使われていたのだが、どうも話を聞いてみたところコナミ側の方向から東京大に接触して利用しないかと持ちかけられたのだとか。
    コナミ自体も企業ブースを出してARマーカーを展示して記念撮影とかしてたので、かなり戦略的に商品を進化させる方向にがんばっちゃっているらしい。
    こりゃあ、触れる彼女とか彼女の手料理の匂いを実現する、なんてのは冗談じゃなく本気でコナミは考えてるのではなかろうか。

(追記)コメントで訂正いただきました。コナミが直接接触したわけではなくデジタルコンテンツEXPOの方で仲介となって大学との橋渡しをしたというのが正しいところのようです。関係者各位にテキトー発言による失礼のお詫びを。
産学連携とか、共同研究とかの話でなく、交流といった雰囲気はこのイベント独特なものだなーと思う。

  • 到着したのが15時で残り2時間では回りきれないくらい色々と面白げな展示は多かった。次からはちゃんと早起きして行こう。マジで。