5月某日、某所のカフェでの会話
「おおお、本当に色変わったよ」
「てか、かき混ぜすぎて色がピンク通り越して白になってないか」
「あー本当だ。うー勿体無い」
「勿体無いなのか、感想が」
「そう言えば、さっき隣の席にミクのコスプレした人いたじゃん」
「ああ、居たねえ」
「あれ、店員じゃなかったんだね」
「え?……店員だと思ってたの?」
「だってガチャガチャの前に張り付いてたから補充してんのかと思って」
「おま、店員があんな必死に小銭を連続投入するかよ」
「えー、だってあまりにもコスプレの度合いが見事すぎるからさ。商売のレベルかと思って」
「あー、まあ確かに。細かい部分までかなり衣装作りこんでたよな。
それでも、ケーキ頼んでロウソク立てて『ハッピーバースデーミークー♪』って、やってて店員は無いだろう」
「そうか店員じゃなかったのか…」
「ないない」
「でも男の人だったよね?」
「え!?」
「あれは男の人でしょ?」
「え!?ちょ、マジで?いやいや、あれは女でしょう」
「いや、最初そう思ったけど。あれ男の人だったって」
「いやいや、まぁ…確かに背は高いめだったけど。男は無いってー」
「だって店員と喋ってるときの声が、小さかったけど低い声だったもの」
「マジで!?え、マジで男だったのアレ?だって足ツルツルだし、胸も、こう……盛ってたじゃん」
「そー、だから凄いなーと思って。徹底してるなーと思って」
「そうなのか…。男、あれが男か…。
いや、待てよ。やっぱり男はないよ、絶対。」
「えー、それはもう願望じゃないのー、女であって欲しいっていう」
「いや、だってアレだけ徹底してるのに胸盛ってるんだぜ。
ミクのコスプレで徹底してるんなら、わざわざ大きめに盛るなんてありえないだろ。」
「うーん、それは確かに…」
「それにさっき肩口の隙間から、こう…縦に…黒いブラ紐らしきものが見えてたし」
「そんなん見てたのか。まあ、確かに、黒は無いねえ」
「うん、ミクで黒は無いよ」
「んー、結局どっちだったんだろうな。今となっては確かめようもないけど」
「いやいや、あの時であっても確かめようなんて無いから。
正面に立って『あなた男ですか?女ですか?』って聞くのかよ。」
「そんな直接は聞いたりしないよ。もうちょっと、こう、注意深く観察できてたかなー、と思って」
「それ下手すると警察に逮捕される案件だと思うな」